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ゆきなみ型護衛艦と戦域ミサイル防衛 その1 

ゆきなみ型護衛艦は、漫画「ジパング」に登場する架空の護衛艦である。
原作者の知識不足、リサーチ不足から散々な指摘を受けまくった不憫な艦であるが、この度の模型制作に合わせて少々掘り下げてみたい。
詳しい諸元はWikipediaの「みらい」参照。

 問題とされる設定
・艦種記号がDDH(ヘリ搭載護衛艦)→現有イージス艦はDDG(ミサイル護衛艦)
・イージス艦であるにも関わらず区域防空SAMを運用するMk41 VLSが29セルしかなく、これをSUMやSLCMと共用しているためSAMの搭載数が極端に少ない。
・搭載SAMは海自現用のSM-2MRではなく、大型・長射程のSM-2ERである。
・中距離弾道ミサイルの迎撃能力を有する。(就役時のこんごう型は弾道弾の探知・追尾能力を有するが、迎撃手段はない。BMD改修を受けて2007年以降、迎撃可能となる。)
・短SAM専用のMk.48 VLSが48セルも装備されている。
・短SAMはRIM-7F、又はESSMと表記されるが、RIM-7Fは垂直発射に対応しておらず、ESSMの量産開始は2004年(「ゆきなみ」の就役は2000年)であるため、RIM-7Pが正しい。
・トマホークSLCMを搭載している。
・VLS内に用途不明の架空ハープーン(RGM-84-1D-EX)が搭載されている。
・搭載SSMは、平成2年度以降導入されているSSM-1Bではなくハープーンである。
・DDHとされる割には、搭載ヘリは中型2機程度に過ぎない。
・ヘリ格納庫新設に対してSPY-1レーダーの装備位置を改正していないため、後方低高度に大きなレーダーブラインドが生じる。
・OQS-4低周波ソナーは「きり」型や「かぜ」型に搭載されたソナーであり、こんごう型では1世代新しいOQS-102が装備されている。
・OQS-21フランクアレイソナーは2001年に制式化され、配備は2009年就役の「ひゅうが」以降。

この他、ハープーンがレーザー誘導だとかイージス艦なのに短SAMを同時2発しか管制できないとか海鳥がオーバースペックすぎるとか色々あるが、物語上の演出と言うか大人の事情も考慮して今回は割愛する。

 情勢/時代背景 
原型となる「こんごう」が昭和63年度計画で1990.5.8に起工、1993.3.25に就役している。
以降、「きりしま」と「みょうこう」を経て最終艦「ちょうかい」の就役が1998.3.20であるから、平均して0.7隻/年のペースで整備されたことになる。
これに対し、ゆきなみ型は3年で4隻(平均1.3隻/年)という驚異的な勢いで就役している。
イージス艦をこれだけ急速に整備するには、予算から言って他の艦艇の新造や補修をかなり犠牲にしている筈で、それだけ危急の要求があったと考えられる。

大型自衛艦の就役は3月に集中しており、イージス艦の建造線表がいずれも2年11ヶ月程度であることを考えれば、2000年就役とされる「ゆきなみ」の起工は1997年4~5月上旬と判断できる。
従って調達は平成7年度計画、要求性能の策定は平成6(1994)年中と言うことになる。
この頃に何があったかと言えば、

1993.3.13 米国がTMD構想を発表
1993.5.29 北朝鮮の中距離弾道弾ノドン、初の発射実験。能登半島沖に着弾したが、一部は日本列島を越え太平洋に落下
1993.9.22 日米防衛次官級会談でノドン問題に触れ、米側がTMD(戦域ミサイル防衛)の日米共同開発を提案
1993.9   日米防衛首脳会談にて、TMD日米共同作業グループの設置に合意
1993.12   TMD日米共同作業グループの初会合開催
1994.9   日米BMD(弾道ミサイル防衛)共同研究開始
1995.12.15 中期防衛力整備計画にTMDに関する研究が盛り込まれる。
1996.4.27 日米安保共同宣言「既に進行中のTMD研究で引続き協力を行う」
1997.9.23 日米新ガイドライン「弾道ミサイル攻撃に対応するため密接に協力し調整する」
1998.8.31 テポドン1号、初の発射実験。太平洋への着弾が確認される。
1999.8   イージスBMDシステムの日米共同開発に合意
2003.12.19 BMDシステム導入を決定

現実に日本がBMDに本格参入するのはテポドン事案を受けた1999年だが、もしノドン事案の直後にTMD導入の気運が高まっていれば、平成7年度計画にTMD関連事業が盛り込まれた可能性はある。
当時のTMDは米陸軍のTHAADが難航していたこともあって、イージスという既存システムの転用で技術リスクを抑えた海上配備型の戦力化が急がれていた。
また、抑止力としての実効性を高めるには間隙なく警戒監視を行う体勢が必須であり、最低4隻のTMD艦を整備しなければならない。(前方展開1隻、後方待機1隻、修理整備1隻及び錬成訓練1隻のローテーション)
日本の現有するイージス艦はあくまで護衛隊群の艦隊防空が任務であり、これをTMDに充当しては本来任務に支障を来す恐れがあった。
従って、TMDに専任するイージス艦を急速に整備する必要があり、1.3隻/年という尋常でない建造ペースもこの目的のためと考えられる。

整備状況を表にすると、その尋常でないペースが分かるが、この実現は厳しいものがある。
建造時期から言って、ひょっとしたら「ちょうかい」の起工は延期になったかも知れない。(この場合、「たちかぜ」が続投となり、契約の絡みから「ゆきなみ」の建造は石川島播磨重工業になる算が大きい)

 整備年表
1987:63業計案策定(「こんごう」要求)
1988:63業計承認(「こんごう」契約)
1989:02業計案策定(「きりしま」要求)
1990:02業計承認(「きりしま」契約)、03業計案策定(「みょうこう」要求)、「こんごう」起工
1991:03業計承認(「みょうこう」契約)、「こんごう」進水
1992:05業計案策定(「ちょうかい」要求)、「きりしま」起工
1993:05業計承認(「ちょうかい」契約)、「こんごう」就役、「きりしま」進水、「みょうこう」起工
1994:07業計案策定(「ゆきなみ」要求)、「みょうこう」進水
1995:07業計承認(「ゆきなみ」契約)、08業計案策定(「あすか」「みらい」要求)、「きりしま」就役、「ちょうかい」起工
1996:08業計承認(「あすか」「みらい」契約)、09業計案策定(「2504号艦」要求)、「みょうこう」就役、「ちょうかい」進水
1997:09業計承認(「2504号艦」契約)、「ゆきなみ」起工
1998:「ゆきなみ」進水、「ちょうかい」就役、「あすか」「みらい」起工
1999:「あすか」「みらい」進水、「2504号艦」起工
2000:「ゆきなみ」就役、「2504号艦」進水
2001:「あすか」「みらい」就役
2002:「2504号艦」就役
注)業計…年度業務計画

 以下、次号に続く…。

参考までに、過去に「みらい」について検証したサイトを紹介する。
>><みらい>の謎Ⅰ (架空艦艇建造委員会様)
>>「ジパング」の護衛艦みらいを考察する!(群馬大学GA研究会様)
>>ゆきなみ型DDHは何故生まれたか(建艦日報様)
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[2014.09.22(Mon) 23:59] ゆきなみ型護衛艦Trackback(0) | Comments(0)
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